価値観の違いを認めて、具体的に叱ろう

先月、大学生の息子のサークルで35周年記念のパーテイーがありました。会長をしている息子は歴代の会長との打ち合わせに大忙しでした。時には40代、50代の先輩が「僕たちの時代はな、、、」という言葉にうんざりしたそうです。新入社員も先輩から言われて嫌な言葉の一つでしょう。世代によって価値観も変わります。過去の話を持ち出されても、困るだけです。

叱る時に「前から言おうと思っていたけど」「そういえばこの前も」など、過去を引っ張り出してくるのは、自分が怒っていることを強調したいという心理です。叱られる側は「そんなこと、今は関係ないじゃないか」と叱られている内容を素直に聞けなくなります。それどころか「あの人は過去のことばかりむし返す」と問題をすり替えられてしまいます。叱るタイミングを逃したことをむし返すのはやめましょう。

「ちゃんとした企画書を出せ」「しっかり準備しろ」「丁寧に挨拶をして」など「ちゃんと」「しっかり」「丁寧に」という言葉は程度言葉と言われ、人それぞれに基準が違うため、相手に伝わりにくい言葉です。A4サイズ1枚にまとめた企画書がちゃんとしたものだと思う人もいれば、細部にまでこだわり、A4サイズ5枚に書いたものがちゃんとした企画書だと思う人もいます。上司から程度言葉で叱られても、自分はちゃんと、しっかり、丁寧にしているつもりでいれば、なぜ上司から叱られているのかわかりません。また、「すぐに」という曖昧な言葉も伝わりません。「すぐにやれ」と指示をしたのに、なかなか取り掛からない部下を叱っても、部下はなぜ叱られているのか理解できません。こうして、上司は「部下がいうことを聞いてくれない」と嘆き、部下は「上司が何を言っているのかわからない」となります。曖昧な言葉ではなく、お互いの価値観の違いをすり合わせるために「A4サイズ1枚にまとめて」「午前中にやって」「1時間以内にやって」など、具体的に伝えると良いでしょう。

怒鳴れば相手がいうことを聞くと思っている人もいるかもしれません。その時は恐怖で聞くでしょうが、単に怖いからいうことを聞くだけで、なせそうしてほしいのかが伝わらないため、何度も同じ失敗を繰り返す可能性が高いです。

叱るとは、相手をやり込めるのではなく、次からはどのように行動してほしいのかを伝えることです。相手が行動できるように具体的な言葉で伝えましょう。

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