自律神経は『ぼんやり』で整える
季節の変わり目は、自律神経が乱れると言われます。自律神経の乱れは、頭痛やめまい、耳鳴りや肩こり、疲れが取れないと感じるなどの症状に表れます。
外側に意識が向いている時は交感神経が、そうではない時は副交感神経が働いています。今の情報化社会は外側に注意を向ける状況が多いため、常に外にアンテナを向けた交感神経優位な状態ばかりでなく、あえて内側に意識を向ける、つまり「ぼんやり」する時間を設けないと、自律神経のバランスは安定しません。
また、脳の働きにとっても「ぼんやり」は有効です。脳には注意や集中、記憶を司る実行系ネットワークと、安静時に働いて思考をまとめるデフォルトモードネットワーク、両者を切り替えるセイリアンスネットワークが存在します。外にばかり意識を向ける実行系ネットワークを酷使していると、肝心なときに注意力が散漫になったり、判断ミスをしてしまいます。この時の脳は、勝手に安静時のデフォルトモードに切り替わっているのです。
脳の働きをコントロールするには、実行系とデフォルトモード双方のネットワークを普段から意図的に切り替えられるようになる必要があります。
人間の集中力は生体リズム的に90分程度しか続かないため、どんなに作業がはかどっていてもそこでいったんストップし、頭をデフォルトモードに切り替えてぼんやりモードに入りましょう。
実はそのタイミングが脳の情報処理能力が高まっている状態で、そうした時間を挟むことで仕事の効率がアップしたり、斬新なアイデアが浮かんだりするのです。
とはいえ、急にぼんやりしろと言われても難しいでしょう。普段から自分がぼんやりできる習慣づけをしておくのがポイントです。
例えば、ここに行けば日常の忙しさから少しは離れられて1人だけのぼんやりモードに入れる場所を持ちましょう。カフェや喫茶店など、適度に話し声が聞こえたり、邪魔にならない程度の音楽が流れるところに身を置くと次第に自分の意識が内側に向きます。
また、意図的にぼんやりを作る一番のコツは、目の焦点を合わせないことです。
休憩時間やランチタイムに、ついついスマホをチェックしてしまうことも多いと思いますが、なんとなく画面を見ているつもりでも目の焦点は自然と情報の羅列を追っているので、とりあえず、仕事時間以外でスマホをダラダラと見続けないことから始めましょう。窓の外の景色をぼんやりと眺めることもオススメです。