6秒間のアンガーマネジメント
私は、精神科で看護師として働きながら、イライラや怒りと上手に付き合う方法であるアンガーマネジメントについて伝えています。
看護師は患者さんの怒りを受けたり、医者から怒りを受けたり、逆に患者さんに怒りを感じつこともあります。
人が持つ喜怒哀楽のうち、もっとも扱いにくいのが怒りの感情と言われます。
なりふり構わず怒りをぶちまけると、人間関係を悪くしたり、後悔したり、溜め込んでストレスになり、体に悪影響を及ぼすこともあります。
怒りを感じると、脳では交感神経が優位となって脈拍が速くなり、血圧が上がります。さらには筋肉が緊張し呼吸が速くなります。つまり、体が興奮状態になるのです。
そのため、怒りやすい人は心筋梗塞や脳卒中を起こししやすいと言われています。
米ハーバード公衆衛生大学院の研究では、激しい怒りの後では心筋梗塞や心臓発作を起こす危険性が4.7倍になることが判明しています。
怒るとストレスホルモンの「コルチゾール」が増えるため免疫機能も低下し、風邪をひきやすくなったり、肌の老化が進みます。シミやシワが増えるので美容の大敵でもあります。
患者さんに対して怒りをため込んでいると、ある時急に爆発して「あの看護師は怖い」と言われたり、怒りを抑えていると、いろいろなことに気遣いが行き届かずに失敗したりします。
言わないで我慢していても態度に出て、「怒っているの?」と気を使わせて落ち込むこともあります。
アンガーマネジメントは、そんな怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングです。トレーニングなので、練習し続けなければ上手にはなりません。ダイエットの本を読んで「糖質制限だ!」と言いながらお餅を食べ、うどんを食べ、丼物を食べていては痩せないのと同じです。ゴルフやテニスもトレーニングしなければ上手くなりません。それと同じです。
アメリカでは、40年以上の歴史があり、会社員や医師、弁護士も講座を受講します。近年、日本でもその動きが出始めています。
怒ることは決して悪いことではありません。次からどうして欲しいのかを相手に伝えるリクエストとして、上手に相手に伝えればいいのです。
イラっとした時に気持ちを落ち着かせるために、まずは6秒待ちましょう。
怒りのピークは6秒と言われています。その間に反射的に相手を打ち負かすようなキツイ言葉を使うなど、怒りに任せた行動に出ることもあるでしょう。そうすると後で悔やむ結果に繋がることにもなります。
イラっとしたら、深呼吸をしたり、心をおちつくフレーズを唱えたり、数を数えたり、その場を離れて、冷静になる時間を持ちましょう。すると、冷静になり、より良い言葉y行動を選ぶことができます。
少し冷静になるだけで結果が大きく変わるならば、6秒待つことなんて簡単なことのように思います。