自粛ポリスが流行る理由
緊急事態宣言や外出自粛要請が出る中、ツイッターで#自粛ポリスというハッシュタグを見ました。
店舗に「休業しろ!」と張り紙をしたり、県外ナンバーの車を監視したり、BBQの写真や公園で遊ぶ姿の親子や、芸能人の投稿したSNSのあら探しをする人たちの事を自粛ポリスというのだそうです。
その他にも、電車の中で咳をすると睨まれる、買い物に子ども連れで行くと「なんで子どもなんか連れてくるんだ」と文句を言われるなど、普段の生活でならなんでもないことで攻撃されます。
それを受けて、感染した人が「申し訳ない」と謝ったり、県外ナンバーの人が「〇〇在住です」と張り紙をしたり、窮屈な思いで過ごさなければならないことになっています。
自粛ポリス的な考えの人は、「コロナ禍の今は、県外ナンバーの車も、咳をしている人も、子ども連れの親子も、人が集まるお店も、全てコロナウイルスを持ち込む敵で、自分の家族や仲間を守るためには、その敵を排除しなければならない」という正義から相手を攻撃します。特に科学的な根拠があるわけではなく、自分流のルールを作り、絶対的に自分は正しいのだと信じています。
そして、敵を倒すために正しいことをしていると思うと承認欲求が満たされ、脳内には快楽物質であるドーパミンが出るため、簡単にできるエンターテイメントとなります。
外出を制限して我慢している中で、正義のエンターテイメントとしてエスカレートしていきます。SNSでの誹謗中傷や張り紙行為は、違法行為になりかねませんが、リスクを冒してでも相手に報復したいと思っているようです。不安になりやすいが普段は真面目でおとなしい人ほど、相手がズルをしている、自分に不当なことをしていると感じると、自分の時間やお金などコストをかけても相手を懲らしめたい、報復したいと思ってしまう傾向があります。
そのような人たちは生活への不安や不満をためており、イライラをぶつける相手を無意識に探しています。怒りは矛先を決められないという性質を持っているからです。
感染した人に「お大事に、早く良くなりますように」と声をかける心の余裕がなくなっているのでしょう。
自粛ポリスの人たちは、自分の正義からの行動なので、他人から注意を受けても止めることができません。
「なるほど、あなたの考え方はそうなのですね。今は大変な時ですしね。ちょっとゆっくり考えてみますね」と共感的に対応するか、距離を置くしかありません。